税務署仕様の決算書

税理士が普段から行っているのが「税務会計」です。
では、どうして「税務会計」というのでしょうか。

 

税務会計はその名のとおり、
税務申告のための、税金を計算するための会計です。
 
税理士の本業は税務です。
税理士が作る決算書は「税務署(税務申告)仕様」です。
今週は、税理士が作る「税務署仕様」の決算書について考えてみます。
 
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法人税は、企業が作成した決算書から税額を求めます。
もととなる利益は、損益計算書の「当期純利益」です。
 
決算書は、会社法や公正妥当な企業会計の慣行により作成され、
株主総会の承認等を経て確定します。
この「確定した決算」における当期純利益(あるいは損失)を基礎とし、
これに法人税に関する法令の「別段の定め」による一定の調整を加えて
法人税を算出します。
 
法人税法22条では、課税所得を次のように定義しています。
 
(各事業年度の所得の金額の計算)
第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、
当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
 
そしてこの条文の後には、
益金の額に算入すべきものと損金の額に算入すべきものについて
書かれています。
 
会計では、収益から費用を差し引いて利益を求めます。
決算書に表示された当期純利益は、
法人税の対象となる課税所得の金額とは一致しません。
整理すると次のようになります。
 
会計上の利益 = 収益 - 費用
法人税の課税所得 = 益金 - 損金
 
会計上の収益と法人税法の益金は一致しない
会計上の費用と法人税法の損金は一致しない
 
そのために、「別段の定め」による調整が必要
 
問題は「別段の定め」です。
 
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会計のルールで計算された利益は、
そのまま課税の対象となる所得金額には使えません。
 
そこで税理士は考えます。
 
「決算書に表示される利益をできるだけ課税所得に近づけよう」
「そのほうが社長方にとってもわかりやすい」
 
税理士事務所は「決算書および税務申告書製造業」です。
一般の製造業と同じように、生産効率を考えるのは当然です。
税務申告の際の「別段の定めによる調整作業」は、
少ないに越したことはありません。
 
このように、企業が日々行っている月次決算は、
知らず知らずのうちに【税務会計】になってしまっています。
 
税理士にとっては、
会計上の利益(収益-費用)ではなく、
損金になるのか益金になるのかの課税所得のほうが重要です。
これが「税務署仕様」の決算書です。

 

 

では、税務署仕様で作られた会計情報は、
どのように経営に使えばいいのでしょうか。
そして、会計からしか得られない情報とは、いったい何でしょうか。
 
税務申告のために作られた会計情報を企業経営に活かすには
どうすればいいのでしょうか。
 
今回立ち上げた「社長のための会計事務所」の重要なテーマの一つです。
 
多くの税理士たちは勘違いをしています。
税務署仕様の決算書が重要な経営情報であると、、、
 
決算書ができ上がるまでの過程の情報のほうが、
じつは社長方にとって重要なのですが、
税理士たちはそれを無視して、でき上がった決算書のほうに
焦点を当ててしまっています。
その先、どんな分析をしようが、核心から遠ざかるばかり。
決算書は、会計情報のほんの一部にすぎないのです。
 
(ITS宇野寛) 

 

本来、会計データには経営情報が詰まっています。

なぜそうなったのか、これからどうすべきなのか、

という情報を経営に活用しない手はありません。

経営情報のなかでは最も価値のある情報であり

警戒警報の役目も果たします。

 

2016年9月14日(水)

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