「パラダイム」という単語をはじめて耳にしたのがいつ頃なのか、
思い出せません。
少なくとも、中学や高校の授業では習った記憶がないのです。
テレビや雑誌などでこの単語を目にするたびに、
パラダイム?
なんだそれ?
パラダイスの親戚か?
くらいにしか考えませんでした。
そのうち詳しい意味を調べようと思うのですが、
重要視していないのでついつい忘れてしまいます。
「スキル」や「リテラシー」という言葉も同様でした
評論家も政治家もコンサルタントも横文字(カタカナ)で話すものだから、
何を言っているのか、私には伝わってこないのです。
税務会計を学んでいるうちはこれがありませんでした。
会計に横文字は出てきません。
そのかわり、いままで聞いたことがないような専門用語に
悩まされ続けました。
日本語だから横文字より始末が悪い!
総資本回転率? 総資産や総資本? 繰越利益剰余金?
何それ!
馴染んでしまえば当たり前のように会話ができるのですが、
そうすると、馴染んでいない人たちにはまったく通じないのです。
・
もう30年以上も前になります。
コンピューターのプログラム言語に興味を持ち、
専門書を買ってきて読むのですが、
日本語に翻訳された書籍にはカタカナ表記ばかりです。
カレントドライブ?
キーはユニーク?
イニシャライズ?
タスク?
オルタネート?
ディスクリプション?
ディフォルト?
シーケンシャルファイル?
そしてソート???
こういう本を読むのは、、、辛い。
日本語で書け!と言いたくなります。
たしかに日本語ではなかなか表現できない単語というのが存在します。
一度この単語に慣れると、使ってみたくなる気持ちは「お察しします」が、、、
パラダイムに話を戻します。
パラダイムの意味を本気で調べようと思ったのが昨年の暮れ、つい最近です。
年末から年始にかけて、志と想いをもった人たちが
いつも鉛色の空、寒い寒い雪の山形に集まってきました。
そこでふと浮かんだ単語が「パラダイムシフト」です。
なんとなくは理解していたつもりでしたが、
この際きちんと調べようということになりました。
[パラダイム]paradigm
(科学上の問題などについて)ある時代のものの見方・考え方を支配する
認識の枠組み。
[パラダイムシフト]paradigm shift
ある時代・集団を支配する考え方が、非連続的・劇的に変化すること。
社会の規範や価値観が変わること。
●平らな地球
かつて人々は「地球は平らである」と信じて疑いませんでした。
「地球は平らである」
というパラダイムが人々の思考や行動の原点でした。
あるとき「地球は丸い」
ということが証明されます。
地理上の概念は逆転し新たな疑問がわき起こりました。
「地球が丸いのなら、なぜ人は転げ落ちないのか」
●天動説と地動説
もっともわかりやすい事例です。
天動説がプトレマイオスによって唱えられたのは2世紀のころ。
そしてそれは16世紀になるまで、
じつに1400年もの間、真実でした。
ところがこれに異を唱えたのがコペルニクス。
彼の地動説は、
「それでも地球は回っている」のガリレオ・ガリレイによって
望遠鏡が発明され、証明されました。
その後、ニュートンの「運動法則」と「万有引力の法則」により、
地動説は確固たるものになったという話です。
●相対性理論
そのニュートンは、宇宙空間は固定された座標の中に存在し、
その位置は変わらないと説きました。(絶対時間と絶対空間)
ところが、アインシュタインが考え出した相対性理論により、
時間は相対的なもので空間は湾曲することがわかったのです。
これまで何の疑問もなく当たり前だったことが、ある日を境に一変します。
物理学や宇宙工学、天文学では、これまで学んできた知識は
まったく役に立たなくなるのです。
複式簿記の原型が体系的にまとめられたのが1494年、
すでに500年以上が経過しています。
「複式簿記は人間の精神が生んだ最高の発明の一つ。
立派な経営者は誰でも、経営に複式簿記を取り入れるべきだ」
あのゲーテが「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」という本に
書いているそうですが、
たしかに企業の業績を測定するための仕組みは、
複式簿記以外には存在しません。
ここまで読まれた方は、
私が何を言いたいのか察しがついたと思います。
そして、ここから「税理士たちのパラダイム」がはじまります。
「税理士たちのパラダイス」ではありませんので、、、
(続く)
(ITS宇野寛)
このほかのブログ