033-2続)社長たちにとっての資金繰り

社長方に質問です。

 

(質問1)

前月の会社の預金残高は1000万円でした。

当月末は3000万円になっていました。

社長であるあなたは、

 

 1.喜ぶ

 2.悲しむ

 3.わからない

 4.その他

 

いかがでしょうか?

 


前回のブログの続編です。

 

 

講義のなかで、社長方に質問を投げかけます。

もっとも多かったのが、

「1.喜ぶ」

です。

「2.悲しむ」を選ぶ人は一人もいませんでした。

 

経営のアドバイスをする立場の

税理士やコンサルタントの方たちに質問です。

 

(質問2)

期首の在庫(商品、製品、仕掛品など)の合計は3000万円でした。

期末ではそれが8000万円に増えていました。

このような状況では会社のキャッシュフローは、

 

 1.良くなる

 2.悪くなる

 3.変わらない

 4.その他(わからないを含む)

 

 (質問3)

期首の買掛金残高は1000万円でした。

期末の買掛金残高は2000万円に増えていました。

この場合、会社のキャッシュフローは、

 

 1.良くなる

 2.悪くなる

 3.変わらない

 4.その他(わからないを含む)

 

 


 

 

年に2回だけ行っている「社長のためのキャッシュフロー」セミナーの

冒頭で行う質問です。

 

(質問2)は「2.悪くなる」

(質問3)は「1.良くなる」

 

教科書でキャッシュフローを学んできた税理士やコンサルタントは、

この質問に対して模範的な解答をします。

ここでいう「模範解答」とは、実践では役に立たないという意味です。

 

そもそもキャッシュフロー計算書は、何ために作るのでしょうか。

何の目的で学ぶのでしょうか。

 

多くの税理士、コンサルタントは、

この答えに、なぜ、疑問を持たないのでしょうか。

 

それは、「キャッシュフロー」の本には

「模範解答とそれらしい解説」が載っているからです。

ですから多くの税理士やコンサルタントは、その先を考えません。

 

科学の分野に身を置く人たちは、

「どうしてそうなるのか!」という疑問をもつことから

すべてがはじまります。

偉大な発見や大きな気づきにつながるからです。

 

・業者への支払時にはいつも頭が痛い

・毎月の借入返済が重くのしかかってくる

・ボーナス支給直前にいつも悩む

・仕入先にいつも待ってもらっている

・とりあえず手形を割り引いてしのいでいる

・銀行はこれ以上貸してくれない

 

「根本から改善できる特効薬」などありません。

いきなりキャッシュが天から降ってくるわけはないのですが、

銀行から融資が下りたとき、

社長は、ほんとうに「ほっ」とします。

しかし、それは一時的なもの。根本の解決にはなりません。

 

『顧問税理士に話をするのですが、

 売上を増やすか原価や経費を下げるか、そればかりです。』

 

この方のメールにあるように、

社長たちと「まともな経営の話」ができない税理士が多すぎます。

 

・なぜ、資金繰りが苦しいのか

・何が根本的な問題なのか

・どうすれば根本的な解決につながるのか

 

それがわかるような資料や情報を、税理士は提供していないからです。

貴重な会計情報を、

決算書を作るためのたんなるデータとしか見てないからです。

だからトンチンカンで噛み合わない会話を平気でしてしまうのです。

 

税理士は、関与している企業の資金繰りがどうなのか、

身近に接していて一番わかるはず。

 

それに対して真剣に向き合わない。

的はずれな話しかできない。

教科書的な対応しかできない。

その先、どうしたらいいのか考えられない。

 

だから、誰かがもっともらしいことを言い出すと

手法だけを身につけようとし、安易に取り入れようとする。

このままではいかん!とは思わないのだろうか。

 

経営のアドバイスをする立場の

税理士やコンサルタントの方たちに、再度質問です。

 

(質問1)

前月の会社の預金残高は1000万円でした。

当月末は3000万円になっていました。

社長であるあなたは、

 

 1.喜ぶ

 2.悲しむ

 3.わからない

 4.その他

 

多くの社長たちは「1.喜ぶ」を選びます。

たしかに通帳の残高が毎月増えていれば安心だし余裕が生まれます。

会計の本を見ると次のように書いてあります。

 

「P/L(損益計算書)はフローでB/S(貸借対照表)はストック」

 

             ・

 

会計でいうフローとストックは、経済学の話だそうです。

フローを直訳すると”流れ”、ストックは”蓄積”。

ところが経済学でいうところのフローは、

「一定期間に流動する値の合計」。

これに対しストックは「一定時点での値」。

 

             ・

 

「現金預金」という勘定科目はB/Sに表示されます。

ということは、

「預金はストック」ということになってしまいます。

月末の預金残高だけに注目すれば、多いほうが良いと思いがちです。

 

 

残高は「結果」です。

なぜ増えたのか、なぜ減ったのか、理由があるはずです。

 

(質問1)では、前月末の預金ストックは1000万円です。

それが当月末では3000万円になっていました。

その差2000万円は、ストックだけを比較すればたしかに増加しています。

 

しかし、ここからわかることは、

入金額が出金額を2000万円上回ったという事実だけです。

 

問題は、入金と出金それぞれの【中身】です。

 

これが前期と当期だったらどうなるでしょうか?

 

会計ソフトから出力される「2期比較貸借対照表」の預金残高、

前期が1000万円、当期が3000万円。

 

そこで会計人やコンサルタントは、なぜキャッシュが増えたのか減ったのか、

「キャッシュフロー計算書」を使って理由を明らかにしようと

分析や解説をはじめます。

 

分析に使う「キャッシュフロー計算書」が問題です。

キャッシュフロー計算書の多くは【間接法】で作られているからです。

 

 

以前、私が訪問した企業の社長から質問がありました。

 

「減価償却費をたくさん計上すればキャッシュフローが良くなるんですよね」

 

社長は真剣です。

 

「どうしてそう思うんですか?」

 

依頼している税理士から、

キャッシュフロー計算書の説明を聞いた直後の質問でした。

 

間接法で作成したキャッシュフロー計算書の仕組みを学んだ方たちは

すでにお解りのように、

「営業キャッシュフロー」の金額は、

税引前当期純利益に減価償却費を加算し、

支払った税金を差し引き、売掛金、在庫、買掛金など、

それぞれの項目の期首と期末の差額を加算減算し、

調整して求めます。

 

では、なぜ、利益に減価償却費を足し込むのでしょうか?

なぜ、売掛金や在庫そして買掛金などの増減を調整するのでしょうか?

そもそも、キャッシュフロー計算書を作成する目的は何なのでしょうか?

 

会計人やコンサルタントは、もっと社長に寄り添って

考えてもらいたいと思います。