035.「会計ソフトの役割」について考える

パソコンなどない時代の会計事務所の仕事といえば、

企業から依頼されての「手作業による帳簿作成」。

事務所の職員一人が担当できる件数は月にせいぜい十数件、

(手書きの)試算表が一発で合うかどうか、職人の世界です。


会計ソフトがこれだけ普及した現在、

会計事務所の作業は、比較できないくらい楽になっているはず。

ところが、考え方や方針、理念がきちんとできていない、

職員の教育が徹底していない事務所では、

作業が手書きからパソコンへの入力に変わっただけ。

 

では、企業側から見た場合、会計ソフトの役割はどうなのだろうか。

「そもそも、会計ソフトを選ぶのは誰か?」

会社の規模が大きくなり、

「経理」という組織が存在するようになると

会計ソフトを選ぶのは、経理の責任者です。

(ただし、最後に決定するのは社長)

 

そしてその選定基準は、 

・入力まわりや操作性、使いやすさ、わかりやすさ

・いざというときのサポート

・販売店からの薦め

・ソフトの価格

 

そして経営に活用しようと思った経理担当者が次に進むのが

「自分のイメージしている分析資料や帳表が作成できるか」です。

社長の思っているものに近ければいいのですが、

そうでないときには、会計ソフトに入力したデータから

独自に作成することになります。

 

ところが、税務申告さえできればいいという会社は、

社長にとって会計ソフトの選定は重要ではありません。

だから、税理士の薦めるソフトを購入することになります。

 

おそらく、いまでも疑問に思っている社長方も多いと思います。

 

「税理士を替えれば、会計ソフトも変えなければならないのか?」

 

事務担当者がせっかく操作に慣れてきたのに

あえて税理士が薦める会計ソフトに替えなければならないという現象は

相変わらず起きているようです。

 

 

今回は、会計ソフトの役割と

それをどのように経営に活かすのか、について考えてみます。

 

はじめに、

会計ソフトの役割は「経理事務で手間ひまをかけないため」です。

 

「会計ソフト」とは「事務処理ソフト」です。

ですから、手書きで帳簿をつけていたときのやり方が、

そのままソフト(プログラム)のなかで行われています。

パソコンになっても、会計帳簿のつけ方の基本のとおりに

ソフトが組まれているわけです。

 

会計ソフトのメーカはたくさん存在しますが、

税務申告だけが目的であれば、

どのメーカーのソフトでも機能は十分に備わっています。

日々企業側で発生する取引を会計ソフトに入力しさえすれば、

税務申告に必要な帳表や資料は、自動的に作成されるからです。

「事務処理の省力化」

会計ソフトに期待できるのはこの部分です。

 

 

私が考える会計情報への期待のひとつは、

【警戒警報】としての役割です。

けっして会計ソフトへの期待ではありません。

 

社長方がもし、会計情報を経営に活用するのであれば、

会計ソフトから出力される決算書などの帳表類よりも、

そこに蓄積された会計データや情報を

どのように活用するのかに着目し、

 

★蓄積される「データの質を上げていくこと」★

 

会計ソフトの使い方ではなく「データの活用の仕方」の話です。 

 

税理士もコンサルタントも、ここを誤れば、

決算書の解説や帳表の分析に終始することになってしまいます。

 

『経営に対する警戒警報としての会計の役割』

 

★これは重要★

 

経営の危機を知らせる情報が、

本来、会計システム(会計ソフトではない)のなかに備わっているのですが、

具体的にどのように活用するのか、という話にはなかなかなりません。

これをきちんと説明し指導できる税理士はごく少数、

会計情報を経営に活用するうえで、とても大切なことです。

 

 (つづく)