続・「会計ソフトの役割」について考える

会計ソフトの役割についての続編です。 

会計ソフトの大きな役割の一つは、

経理事務に手間ひまをかけないため、です。

事務処理を楽にするため、です。 


 

「会計ソフト」とは「事務処理ソフト」です。

ですから、手書きで帳簿をつけていたときのやり方が、

そのままソフト(プログラム)のなかで行われています。

パソコンになっても、会計帳簿のつけ方の基本のとおりに

ソフトが組まれているわけです。

 

会計ソフトのメーカはたくさん存在しますが、

税務申告が目的であれば、

どのメーカーのソフトでも機能は十分に備わっています。

日々企業側で発生する取引を会計ソフトに入力しさえすれば、

税務申告に必要な帳表や資料は、自動的に作成されるからです。

 

「転記作業」

「分類集計作業」

 

会計ソフトに期待できるのはこの部分です。

 

              ・

 

会計ソフトが世のなかに出はじめたころ、

おそらく30年以上前のことだと思いますが、

NHKの番組で「会計ソフト」の特集をしていました。

 

そのなかで会計ソフトの便利さと問題点が挙げられました。 

 

これまで簿記の技術をマスターしないと決算書が作れなかったのが

これからは、誰にでも会計処理ができるというものです。

 

便利さの反面、番組で問題として取り上げられていたのが、

 

「過去に遡って(さかのぼって)データを自由自在に直せる」

 

でした。

 

「会計ソフトを入れることで、利益をいくらでも調整(操作)できる、

 つまり、脱税につながらないか」

 

というものです。

 

              ・

 

私は、当時すでに会計に従事していましたから、

興味をもってその番組を見ていました。

 

「いずれそんな時代が来るんだ」

 

まさにひとごとです。

なにせ会計の現場では、手書きで帳簿をつけるのが常識の時代。

遡って直すなどという発想はありません。

 

ところがその後、パソコンが普及し始めると、

会計の現場にもその波があっという間に押し寄せてきます。

そして、遡って直せるのが当たりまえの時代になったのです。

 

 

今回は、この「過去に遡って直す」ということについて、

税務と経営、それぞれの観点から考えてみたいと思います。

 

会計ソフトに関係なく、そもそも企業が会計帳簿を作成する目的は、

 

「法律で決められているから」です。

 

年一回の税務申告だけを考えれば、

「遡って修正できるソフト」は、経理業務には適しませんし、

会計の慣習では、帳簿はけっして遡って修正してはいけないのです。

 

ですから、間違いを発見した場合には、

その月に訂正伝票を起票し、対応しなければなりません。

会計に携わる人たちにとって、それはいまでも【常識】です。

 

 

「先月の売上を計上する際に誤って百万円少なく集計してしまった。」

 

という場合、税理士は、あるいは会社の経理は、

どのように処理するでしょうか?

 

会計ソフトを、税務申告だけに使うのであれば、

誤りを”発見した月”に訂正すれば済みます。

 

ところが、

 

ところがです。

 

もし、あなたの会社で、会計ソフトに入力したデータを

経営に使っているのであれば、

 

話は違ってきます。

 

 

私が考える会計情報への期待のひとつは、

【警戒警報】としての役割です。

けっして会計ソフトへの期待ではありません。

 

社長方がもし、会計情報を経営に活用するのであれば、

会計ソフトから出力される決算書などの帳表類よりも、

そこに蓄積された会計データや情報をどのように活用するのかに着目し、

 

 ★蓄積される「データの質を上げていくこと」★

 

会計ソフトの使い方ではなく「データの活用の仕方」の話です。 

 

税理士もコンサルタントも、ここを誤れば、

決算書の解説や帳表の分析に終始することになってしまいます。

 

 『経営に対する警戒警報としての会計の役割』

 

 ★これは重要★

 

経営の危機を知らせる情報が、

本来、会計システム(会計ソフトではない)のなかに備わっているのですが、

具体的にどのように活用するのか、という話にはなかなかなりません。

これをきちんと説明し指導できる税理士はごく少数、

会計情報を経営に活用するうえで、とても大切なことです。

 

 (つづく)

 


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