036.月次決算とMQ会計

30年以上前の話になりますが、

私がまだ会計事務所で働いていたころ、

月次決算書(月次試算表)を作って企業へ届けるのが主な仕事でした。

 

ある会社を訪問すると、すでに送った月次決算書が、

封も切らずに片隅に積み上げてあります。

税務と会計の技術を駆使して【制作した】月次決算書に、

「なぜ社長は、興味を示さないのだろうか」

正直、ガッカリです。


当時はまだエクセルすらありません。

マーカーペンで重要なところに印を付けたり、

赤枠で囲んだり、コメントを書いたり、勉強会を開いたり、、、

 

いろいろ工夫はするのですが、反応は芳しくありません。

 

むなしい・・・

やる気をなくす・・・

とはこのことです。

 

せっかく一生懸命メッセージを伝えようとしているのに、

社長は何を考えているんだ!見ないあなたが悪い!

 

という状況です。

 

「興味をもってもらうためには、どうすればいいのだろうか」

 

今度は経営分析だ!

管理会計だ!

資金繰りが重要だ!

いや、やはり経営計画を作らなければならない!

 

そのときは、懸命に仕事をしていたのですが、

いま思い返せば、

けっして社長のためにやっていたのではなく、

事務所の「自己満足」のためだったのです。

毎月、顧問料を貰うための理由付けだったのです。

 

              ・

 

時が流れ、いまはエクセルなどさまざまなツールが出回っていて、

状況は一変しました。

 

会計ソフトの質も操作性も格段に向上。

しかし、月次決算の考え方は、変りません。

出力される帳表(結果)も中身は同じです。

 

そもそも「月次決算」とは何なのでしょうか?

社長方がこれを経営の指標として使うために、

税理士やコンサルタントは、どう活用していけばいいのでしょうか。

MQ会計の研究をはじめてからの、私の長年のテーマでした。

 

              ・

 

定期的にMQ会計セミナーを開催しています。

税理士、コンサルタントの方々の参加割合が最近は多いのですが、

30年前に私が悩んでいたことと同じようなことに突き当たっている

ことが伝わってくるのです。

 

 

そもそも「月次決算」ということばが世に生まれたのは

会計ソフトの出現、

経理処理をコンピューターで行うようになってからです。

それまでは「月次決算」という概念すらありませんでした。

 

【月次決算】をネットで検索すると、

税理士事務所やコンサルタントのサイトが「どーっ」と出てきます。

そこには月次決算の具体的なやり方が書いてあります。

 

 ・減価償却費の月割り計上

 ・引当金、未経過勘定の処理

 ・仮勘定(仮払金・仮受金)の整理

 ・主要な科目(現金預金・売掛金・買掛金など)の残高照合

 ・実地棚卸

 

そして、

 

 「スピードが命」

 

月末で締めたら「さっさと出せ!」です。

 

では、

 

「何のために行うのですか?」

というところで、「経営」という単語が登場します。

 

 ・月次決算を「経営改善や業務改善」に活用しよう

 ・月次決算は経営にとって重要

 ・節税対策にも有効 = 資金繰り対策

 ・タイムリーに現状を把握し、経営判断に活かす

 ・予算と比較し、原因分析や改善対策を行うことができる

 

どこのサイトも同じような文章が並んでいます。

会計の専門家としては当然です。

そして、月次決算の魅力のようなものが、Q&A形式で載っています。

そこには、こう書いていあります。

 

              ・

 

 [Q]月次決算を「業績改善」に役立てるうえでの

    ポイントを教えてください。

 

 [A]業績を改善するためのポイントは以下の3つです。

 

   1.売上高を増やす

   2.限界利益率を上げる

   3.固定費を減らす

 

 この3つのポイントの変化を月次決算によってきちんと把握し、

  「なぜだろう?」と自分自身に問いかけていけば、

  業績改善のヒントがきっと見つけられるはずです。

 

 

では、MQ会計に興味をもった社長が、

 

「月次決算書からMQ会計表を作ってみたい!」

 

と思いはじめたときに、

税理士やコンサルタントはどう対応すればいいのでしょうか。

 

              ・

 

それは、MQ会計であっても月次決算であっても変動損益計算書であっても

 

「一方的な分析や解説をしないでほしい!」

 

のです。

 

とくに税理士は日々会計に接しているので、

決算書の分析や変動費・固定費で作る変動損益計算書の見方や分析の手法から

なかなか抜け出せません。

せっかくMQ会計表を作っても、

これまでの税務会計や管理会計の延長になってしまうのです。

 

 

「MQ会計」は、社長のための、未来を見るための【ツール】です。

MQ会計表を分析、説明、解説するとどうなるでしょうか?

 

 Gを増やすには!

  1.Pアップ

  2.Vダウン

  3.Qアップ

  4.Fダウン

 この4つの視点から経営を見ていかなければならない

 

と、こうなってしまうのです。

そして、MQ会計でしかできない「利益感度分析」を

 

 損益分岐点は4つある!

  1.Pをあと5%アップすれば

  2.Vをあと2.5%下げることができれば

  3.Qは・・・

  4.Fは・・・

 

のように【率】による分析や解説に走ってしまいます。

それはまさに「会計人の習性」としか言いようがありません。

「MQ会計で分析や解説や行う」ということは

結局、

 

1.売上高を増やす(売上をあと3%増やすだけで・・・)

2.限界利益率を上げる(限界利益率をたった1.5%改善するだけで・・・)

3.固定費を減らす(固定費を5%削減できれば・・・)

 

このレベルと同じことなのです。

 

次回は、

 

月次決算書からMQ会計表を作る場合の疑問や問題、

そして、分析や解説から抜け出すにはどうするか。

 

について書こうと思います。