そもそも論・決算書の構造について考える

これまでの複式簿記では、診断の基礎となるデータが元帳の口座の中に

 分散していて全体の見通しがきかず、個々の取引が日付順に雑然と記録

 されているので、経営診断の生きた資料をそこから引き出すことは難し

 かった。

そのため、こんにちの経営診断学では企業活動の結果であり残高にすぎ

 ないB/SとP/Lだけをたよりにして、企業の安全性や活動性や収益性

 や発展性を測定しているにすぎない。

こんなやり方は、ひと昔前の町医者が、聴診器と体温計だけをたよりに

 して病状を判断したのに似ている。


(前回までのあらすじ)

 

「経営者は数字で経営を考えなければならない!」

「決算書くらい読めないようでは社長として失格!!」

 

そこで多くの社長たちは会計を学ぼうとします。

 

税理士たちも、

自分たちが作る決算書をどのように説明しようかと頭を悩ませ、

解説のしかたや分析に工夫を凝らし、

わかりやすい帳表やグラフを作ろうとします。

 

ところが、

【これだ!】という根本的な解決策はでてきません。

そしてとりだたされるのが、

 

B/S(貸借対照表)

P/L(損益計算書)

C/S(キャッシュフロー計算書)

 

の関係です。

 

ところが「利益が出ているのにカネはないのはなぜか?」

については、この3つの表からは説明ができません。

 

そこでこれらの3つの関係(決算書の構造)を解説しようと、

いろいろな書籍が出版され帳表が考案されました。

 

「そもそも、なぜ3つに分解するのか」

そして

「なぜ、3つの関係を【あえて】説明しなければならないのか」

 

 

決算書を「わかりやすく解説しようとした書籍」は

世のなかにたくさん存在します。

 

ところが、決算書の「わかりにくさを追求した本」は、

なかなか見つけられません。

 

「わかりにくさを追究することで、

 反対に、決算書の仕組みが見えてくるかもしれない!」

 

と思い、

 

「これなら決算書の仕組みがわかる!」

 

と題して、ある企業の事例で決算書を検証しようという試みです。

 

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日本人の会計学者が書いた本からの抜粋です。

 

これまでの複式簿記では、診断の基礎となるデータが元帳の口座の中に

 分散していて全体の見通しがきかず、個々の取引が日付順に雑然と記録

 されているので、経営診断の生きた資料をそこから引き出すことは難し

 かった。

 

そのため、こんにちの経営診断学では企業活動の結果であり残高にすぎ

 ないB/SとP/Lだけをたよりにして、企業の安全性や活動性や収益性

 や発展性を測定しているにすぎない。

 

こんなやり方は、ひと昔前の町医者が、聴診器と体温計だけをたよりに

 して病状を判断したのに似ている。

 

 

すでに40年以上も前に書かれた内容ですが、

会計の世界では、いまだに同じことが続いています。

 

「決算書の見方や分析・解説のしかた」のセミナーが

各地でさかんに行われているのを目にするたびに、

決算書が、いかに世のなかで重要視されているのか、を感じます。

 

                ・

 

『ある日、文具屋で100円のボールペンを現金で買いました。』

 

この事実が決算書にどう反映されていくのか、

どのように分類され集計されるのか、

 

一連の会計処理の流れを見ていくと、

【ある処理】を境に「現金とボールペンの関係」が断ち切られます。

「ボールペンを現金で買った」という重要な意味が失われるのです。

 

それは、元帳に転記され合計残高試算表に集計された時点です。

 

 

「ボールペンを現金100円で買った」という取引を

会計記録として残すために「仕訳」に変換します。

この作業に必要なのが「簿記の技術」です。

 

そして「借方(かりかた)・貸方(かしかた)」という

会計用語が出てきます。

 

(借方)事務用消耗品費 100 /(貸方)現金 100 (摘要)ボールペン代

 

この段階では、ボールペンと現金の関係性がわかります。

ところが元帳へ転記され合計残高試算表へ集計された途端に、

この取引は意味を失います。

「借方:事務用消耗品費」と「貸方:現金」が分断されるからです。

 

事務用消耗品費の科目には、

 

現金で払おうと、

預金で払おうと、

クレジットで払おと、

買掛金で買おうと、

相殺されようと、

 

借方に仕訳された「事務用消耗品費」だけが集計されるのです。

 

                ・

 

ここまでは簿記会計で習う「決算書を作る手順の話」でしたが、

会計ソフトでも同じことが起きています。

 

(借方)事務用消耗品費 100 /(貸方)現金 100 (摘要)ボールペン代

 

この仕訳を入力したとたんに、

会計ソフトのデータベースには次のように記録されます。

(このフォーマットが主流になりつつあります)

 

(借方)事務用消耗品費 100 

(貸方)現金 100 

(摘要)ボールペン代

 

この3行は会計ソフトの内部でバラバラに記録されます。

それぞれのデータは「キー」をもとに一瞬に画面に表示されるため、

あたかも一行に記録されているように見えるのです。

 

では、なぜ、会計ソフトではこのようなデータを作るのでしょうか。

 

決算書や各種帳表を集計する際に「都合が良い」からです。

 

会計ソフトにおいても現実の会計と同様に

「仕訳の意味や関連性は重要ではない」のです。

 

                ・

 

「宇野さん、これじゃ会計の説明と一緒でさっぱりわかりません!」

 

そこで、

 

会計とは全く関係のない「期中の社員の移動の計算」に、

時間をかけて考えてもらったわけです。

 

前回までの問題を、会計の視点から集計した帳表がこちらです。

 ⇒ https://www.mxpro.jp/vol-468-1/

 

 

日本人の会計学者が書いた本からの抜粋をもう一度ご覧ください。

 

これまでの複式簿記では、診断の基礎となるデータが元帳の口座の中に

 分散していて全体の見通しがきかず、個々の取引が日付順に雑然と記録

 されているので、経営診断の生きた資料をそこから引き出すことは難し

 かった。

 

そのため、こんにちの経営診断学では企業活動の結果であり残高にすぎ

 ないB/SとP/Lだけをたよりにして、企業の安全性や活動性や収益性

 や発展性を測定しているにすぎない。

 

こんなやり方は、ひと昔前の町医者が、聴診器と体温計だけをたよりに

 して病状を判断したのに似ている。

 

                ・

 

「利益が出ているのにカネはないのはなぜか?」を

いまの会計(決算書)の仕組みに求めること自体、無理な話!なのです。

 

「じゃあ、何か方法はないのか!」

 

(つづく)

 


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