利益率をたった2%アップすると・・・

税理士と社長の会話

 

昨年と比べて利益が大幅に減っていますよ。

売上が1割も落ちたのが影響しているようです。

何か心あたりがありますか?

 

社長は、売上が落ちた原因を一生懸命説明します。

 

でも、アドバイスする側は、

 

「じゃあ、どうすればいいのか」

 

など、そう簡単に言えません。

そこで、率を使った分析がはじまります。

 

売上が1割も落ち、そのうえ粗利率が2%下がっています。

 これが利益が減った大きな要因の一つです。

 

 ・・・(言われなくてもわかってるわい!)

 

社長は、黙って聴いている"ふり"をします。

 


 

さらに税理士は、次のようなアドバイスをはじめます。

 

売上を減少前まで回復し、

 粗利率を「たった2%」アップさせれば、

 利益は〇○円になりますよ。

 

 ・・・

 

(なんだよ、もとに戻るだけかよ。

  どうやって売上を回復し、どうやって粗利率を2%アップさせるのか、

  そんな方法があったら教えてくれ!)

 

 やはり社長は反応がありません。

 

税理士の話は【率】が中心です。

 

多くの税理士やコンサルタントは、

金額に関する具体的な話はしません。

 

決算書を【率で解説】しているのです。

 

決算申告時期になると、

このように多くの税理士が「むなしい決算分析」を続けているのです。

 

このむなしさから抜け出す方法はひとつ、

率による決算書の解説や経営分析を一切やめること、です。

 

----------------------------------------------------------------------

 

今回は、

 

「粗利率を【たった2%】アップさせれば、、、」

 

について考えてみたいと思います。

 

 

かりに、

 

前期粗利率(売上総利益率のこと)30%、

 

当期粗利率28%、

 

だとすると、

 

 

「前期から比べて2%減少した」

 

 

という表現は、

 

具体的に何がどうなったのでしょうか?

 

 

売上総利益率(=粗利率)

 

のように【率】がつく指標には、

 

必ず

 

「分子と分母」

 

があります。

 

 

この場合の分子は「売上総利益(粗利益)」、

 

分母は「売上高」。

 

 

では、冒頭の税理士と社長の会話、

 

 

売上を減少前まで回復し、

 粗利率を「たった2%」アップさせれば、

 利益は〇○円になりますよ。

 

 

では実際、

 

【決算書で売上総利益率(=粗利率)を上げるにはどうするか!】

 

カンタンな数字で実験です。

 

次のような決算書があります。

 

売上総利益率は40%です。

 

 

  売上高   1000万円

  売上原価   600万円

  売上総利益  400万円(40%)

 -------------------------------

  販売管理費  410万円

  営業利益   ▲10万円

 

 

売上総利益率を1%上げれば、

営業利益はトントン(ゼロ)。

 

さらに1%上げて42%にすれば

営業利益はプラス10万円。

 

 

売上総利益率40%を41%にするには

 

4つの方法が考えられます。

 

1.売上高そのまま、売上総利益を1%上げる

 

2.売上総利益そのまま、売上高を減らす

 

3.売上原価そのまま、売上高と売上総利益をそれぞれ増やす

 

4.それぞれの金額の組合せで結果の率を計算する

 

 

売上総利益率を求める際の

 

分子は「売上総利益」

分母は「売上高」

 

ようするに、

 

分子と分母をどうするのか!

 

ただそれだけ

 

 

 

冒頭の

 

「粗利率を2%アップすれば・・・」は、

 

1から4のどれを言っているのでしょうか。

 

 

「2.売上総利益をそのままにして売上高を減らす」

 

売上を減らして率だけ上げても営業利益は変わりません。

 

 

「1.売上高そのまま、売上総利益を1%上げる」は

 

小学生でも解ける計算です。

 

 

「3.売上原価そのまま、売上高と売上総利益をそれぞれ増やす」

 

「4.それぞれの金額の組合せで結果の率を計算する」

 

この2つはすぐに計算ができません。

 

 

売上総利益率を単純に1%上げたのが次の状態です。

 

 

  売上高   1000万円

  売上原価   590万円

  売上総利益  410万円(41%)

 -------------------------------

  販売管理費  410万円

  営業利益     0万円

 

 

さらに2%上げたのが次の状態です。

 

  売上高   1000万円

  売上原価   580万円

  売上総利益  420万円(42%)

 -------------------------------

  販売管理費  410万円

  営業利益    10万円

 

 

しかし、これらはすべて【静止画像】!

 

静止画像上では、

いくらでも計算はできるのです。

 

 

 

多くの税理士やコンサルタントは

 

売上高1000万円の状態を保ち、

 

たんに「率を上げる」、

 

つまり、

 

「1.売上高をそのままにして売上総利益を2%上げる」

 

の状態です。

 

 

そうすると、

 

必然的に売上原価を減らさなければなりません。

 

では、

 

売上原価率をどのくらい下げればいいのか、

 

【2%】です。

 

では、

 

どうすれば売上原価を2%下げることができるのか!

 

             ・

 

1個60円で仕入れたリンゴを100円で販売する場合の原価は60円、

原価率は60%です。当然粗利率は40%になります。

このリンゴの粗利率を2%上げるには、販売価格100円のままであれば

仕入を58円にしなければなりません。

 

ところが【売上原価】を2%下げる場合には、そう簡単にはいきません。

売上原価とは会計で使う会計用語です。

まさに売上を計上するためにかかったコストです。

 

売上原価を求めるには、会計では次の公式を使います。

 

「売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高」

 

製造業ではさらに製造原価が加わります。

 

期首棚卸高、当期仕入高そして期末棚卸高を同時に2%下げなければ

売上原価は2%下がりません。

 

ところが、「期首棚卸高」は「前期末の棚卸高」です。

すでに確定している金額は変えられません。

 

そこで売上原価を2%下げるためには「当期仕入高」と「期末棚卸高」を下げ、

全体の売上原価が2%下がるように計算しなければなりません。

 

2%下げた売上原価の金額 ÷ 下げる前の売上原価 = 0.2(2%)

 

期末棚卸高を計算する際のぞれぞれの商品の単価は2%下がった後の金額です。

期首棚卸高を変えずに当期仕入高と期末棚卸高だけを調整して

全体が2%下がるようにするには複雑な計算が必要なようです。

 

 (次回に続く)

 


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