068.MQ会計とB/S経営

いつごろだったか、

「B/S経営」という単語が使われていたような記憶がある。

ネットで調べてみた。

予想したとおり、会計(決算書)に関する内容だ。

 

「P/LはわかりやすいがB/Sを読める経営者は少ない」

「P/Lは単年度の利益で考えるが

 B/Sでは長期的な利益(ROEなど)が重要だ」と書いてある。

 

 「とくにB/Sを意識して経営をする」ということを言いたいらしい。

 が、会計の話が主になっていて結論はよくわからない。

 

「3年先のB/Sを意識しながら経営計画を作る」

という本を眺めたことがある。作るには会計の専門知識が必要だ。

 

借入金の返済予定、設備計画などの情報に加え、

運転資金(受取手形・売掛金・在庫・支払手形・買掛金)については、

売上高回転率などの指標を使うことになるため、専門家であっても難しい。

 

けっきょくは専用のソフトを使うことになるのだが、

できあがった計画B/Sをどのように実践で活用していくのか疑問だ。

銀行に出すためだけの資料になってしまうのではないか。

 マトリックス会計なら多少の訓練で作れるようになるのだが、、、

  

 

MQ会計は「損益をどうするか」に

焦点をおいているように見られがちだが、

じつはそうではない。

 

MQやMGは、

とくにB/Sを意識しなくてもB/Sの感覚が身につくようになる。

けっしてB/Sを中心に考えるということではない。

 

結果的に、

B/Sで考えられるようになる、のだ。

 

会計や決算書が前面に出てくると、

会計の枠の中だけで考えてしまうと、

どうしても経営の主軸から外れていってしまう。

だからMQ会計では会計用語や専門用語を使わない。

 

社長が日々経営について考えているときの思考過程を

そのまま当てはめたほうがわかりやすいし、その感覚が重要だ。

 

要するに、

B/S経営=B/S(決算書)で考える

ということとは違う、のだ。

 

日々の経営を考えるときに

「会計(決算書)に翻訳しなければ使えない」

「会計用語をマスターしないと使えない」

のであれば、とても使う気にはならない。

 

                ・

 

 「B/Sの感覚を身につける」とは、

「MGの会社盤に置き換えて経営を考える訓練をすること」

 

つまり、「B/S経営」というコトバを知らなくても、

会計(決算書)を使わなくても

自然にB/Sを意識するようになっていくのがMQ、MG。

 

決算書のB/Sを学んでも

この感覚を掴むことはできない。

 

これは会計を専門的に学び

会計業務に携わっている人たち、

たとえば会計人や銀行マン、経理マンにもそのまま当てはまる。

 

MQ会計とともに意識してもらいたいのが、

これから話す内容だ。

決算書のB/Sの話ではない。

 

  

「新型コロナ」を例に考えてみる。

 ニュースや新聞では毎日情報が発表される。

 

・今日の陽性者数

・今日までの陽性者の累計数

・今日現在の重症者数

・今日の死亡者数

・今日までの死亡者の累計数

 

そのほかにも病床使用率や人口10万人当りの陽性者数、

1週間の移動平均、実効再生産数など。

 

今回、山形市のコロナ感染症に関するホームページを

じっくりと見てみた。

現在入院している患者数や自宅待機人数が発表されている。

 

               ・

 

陽性者数と死亡者数については、

その日発生した人数とこれまでの累計が表示されている。

 

入院患者数については、累計入院者数ではなく、

現在の入院者数が書かれている。

 

私が気になるのは、

 

「いま市中に、入院や自宅待機を含めて何人の陽性者数がいるのか」

 

 これを求めるには

治った人たちを差し引かなければならない。

 

累計感染者数も死亡者数も、

当りまえだが増える一方でけっして減ることはない。

 

私のMGに参加された方は、

「ある中学校の図書室」の話を思い出してほしい。

B/Sを意識していくうえでの基本、出発点になる。

 

 

この状況を決算書(会計)に当てはめてみると、

陽性者数と死亡者数はP/L、入院患者数はB/S。

 

P/Lは勘定科目ごとに累計で考える。

そして累計する期間は1年である。

これに対しB/Sは累計しない。

 

陽性者数と死亡者数はP/Lのやり方で計算し、

入院患者はB/Sで計算していることになる。

 

つまり、

 

新型コロナの発生時から現時点までの「決算書」が作れる。

が、肝心な私の欲しい情報はこの決算書には載っていない。

 

P/Lは年に一度リセットし、また0から累計を始めるが

新型コロナではリセットはしない。

永久に累計計算を続けることになる。

 

会計に例えると、

会社設立からの売上高を累計しているのと一緒だ。

 

会社設立以来の売上累計が「100兆円を超えました」と言われても

「だからどうなの!」と思ってしまう。

 

感染者数は1年単位で累計計算を行うことはもちろんできる。

月別の発生人数も当然わかるので

前年対比や増加率を計算し分析する。

まさに損益計算書の月次・年次対比と同じだ。

 

「MQ会計もP/Lと同様に、

 Q・PQ・VQ・MQ・F・Gは累計だ。

 翌期首には0にリセットされ、また累計が始まる。」

 

と思ったとたんに「ただの会計」に戻ってしまう。

 

会計では「決算期で区切る」のは当りまえだが、

MQでは決算期で区切ることには、あえてこだわらない。

 

決算期で区切ってしまうと、

見えなくなる情報も存在する。

 

だからこそB/S感覚が必要だ。

 

次回はこのことについて書こうと思います。

 

 


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