071.MQ会計とコンサルティング(その2)

コロナが落ち着いたら「プロ向けのMQ会計講座」を開きたいと思い、

ここ数年、研究を続けています。

 

「プロ向け」とは、税理士やコンサルタント、士業向けの

「伝える側のMQ会計」講座です。

 

税理士やコンサルタント、いわゆる伝える側、指導する側には、

ある傾向があります。

 

それは、

 

教えてあげなければならない

指導してあげなければならない

解説してあげなければならない

 

だから「先生」という意識が強い

過去の成功体験を他社に当てはめようとする

 

です。

 

そしてその多くは、

伝える側が実践する側に「一方的に行う」ものです。

 

ここで原点に立ち帰ってほしいのは、

そもそも

 

なぜ、何のために分析するのか(したがるのか)

なぜ、何のために解説するのか(したがるのか)

分析や解説の結果、何を伝えたいのか

 

です。

         ・

 

前回のメルマガで紹介したコンサルタント向けに開催された

ある講演会での2人の講師の話。

 

最初の講師はコンサルタントで講師自身(伝える側)の飲食店への

講師自身が指導した事例です。

 

飲食業の間では、原価率が重要視されています。

 

FLコスト

FLRコスト

 

が業界では広く知られていますが、

いずれも【率】で語られます。

 

伝える側は「率」を多用したほうが、

解説は楽になります。

 

ところが実践する側が、

この率に頼るようになると、、、

 

 

2番目の講師は旅館の経営者、

現場で経営している実践する側の話。

この講師(社長)は率ではなく【額】が重要だと話しています。

 

最初の講師であるコンサルタント

(伝える側)の「率の話」と、

旅館経営者(実践する側)の「額の話」は正反対なのです。

 

講演会に参加したコンサルタントたちも

2人の講師の話を聞いて戸惑ったはず。

 

MQ会計を実践している人であれば、

前者のコンサルタントの話に疑問をもつはずです。

 

------------------------------------

 

あなたが、実践する側の人だったら、

「○」か「×」で考えてみてください。

 

1.粗利益率を上げるには率の高い商品を多く売ればいい

2.飲食店では原価率を30%~35%以内に抑えられれば利益が出る

3.赤字の原因の一つは粗利益率が落ちていることだ

4.Gを増やすにはP↑V↓Q↑F↓しかない

 

5.流動比率は200%以上が望ましい

6.労働分配率は50%以内に抑えるべき

7.経常利益率は10%はほしい

 

たとえば、

 

1.粗利益率を上げるには率の高い商品を多く売ればいい

 

多くの営業マンは

このことに疑問をもちません。

当りまえのように思われています。

 

では、

 

なぜ、

 

粗利率の高い商品を多く売れば利益が増えるのでしょうか?

(MQ会計で考えればこれは誤りです)

 

じつは、これが率で考える怖さです。

額ではなく率で考えると、なんとなく

できそうな気になってしまいます。

 

それが次の事例です。

 

  PQ 1000

  VQ 600(v率 60%)

  MQ 400(m率 40%)

 ------------------------

  F1 240(労働分配率 60%) 

  F1以外 170

 (F合計)410

 ------------------------

  G   ▲10(g率 ▲1%)

 

MQ会計を実践している人はこの表を見れば全体の利益構造がわかります。

赤字の会社です。

 

では、MQ会計表をあえて「率」を使って解説するとどうなるでしょうか。

 

------------------------------------

 

この会社が赤字を解消しGを5にするには、

 

1.売上を1.5%アップし⇒PQは+15

2.粗利率を1.5%改善し⇒MQは+21

3.労働分配率をたった1.5%下げると ⇒人件費F1額は結果的に+6

 

と、こうなります。

 

率だけで考えた結果は、

 

  PQ 1015

  VQ 594(v率 58.5%)

  MQ 421(m率 41.5%)

 ------------------------

  F1 246(労働分配率 58.5%) 

  F1以外 170

 (F合計)416

 ------------------------

  G  5(g率 0.5%)

 

1.5%くらいなら何とかなるかも、、、

 

計算上は利益が出ます。

 

ところが、

 

この表の金額は「単位」がありません。

 

1000万円の会社も

1000億円の会社も

同じになってしまうのです。

 

この事例は、あるコンサルタントの本に

解説と一緒に掲載されたものです。

 

これは「MQもどき」でMQ会計ではありません。

私が分析も解説もしない理由のひとつです。

 

経営を「静止画」で捉えるか、

「動画で考えるか」の違いです。

 

会計畑出身のコンサルタントは、

経営を「静止画像(結果分析)」で

捉える悪しき習慣が

身に染みついているようです。

 

ここから抜けるには、

これまで学んできた知識に対し

疑問を持つことから始めなければなりません。

 

MG研修に参加して、

ガーンと衝撃を受けるのも良いかもしれません。

 

が、

 

残念ながらそう簡単に

自分のこれまでの考えを変えるのは難しいようです。

 

そもそも

「利益率が上がると利益は増える」

ということ自体に

疑問を持ってほしいと思います。

 

------------------------------------

 

さらに問題は続きます。

伝える側は、

 

商材に頼る

ネタを探す

手法に頼る

 

今に始まったことではありません。

 

私自身も、

 

分析や解説の手法さえ身につければ、、

 

という時期があり、

管理会計や経営分析を

ひたすら学びました。

 

あるとき、疑問がわいてきました。

 

そのきっかけがMG研修でした。

 

         ・

 

もし、あなたが

MQ会計を伝える側だったら、

この方法は役にたちません。

 

なぜなら、MQ会計は商材になりえないからです。

 

ただし、ツールは存在します。

この場合のツールは、実践する側、

社長(企業側)が使うものです。

 

けっしてコンサルティングの商材ではありません。

 

ところがMQ会計をやっていくうちに

次のような疑問を持つコンサルタント、

税理士が出てきます。

 

これまで私のセミナーに参加した

伝える側の人たちから聞かれた質問を

2つ紹介します。

 

 

(質問1)

毎回、同じ話をすると相手(社長)に飽きられる。

だから新しいネタ探しがたいへんで、

続かない。何かコツはないか。

 

(質問2)

具体的に解説し教えすぎると、

社長から「もう一人でできるから、、」

と顧問契約を切られる。何か方法はないのか。

 

         ・

 

どちらの質問も共通しているのは、

MQ会計をたんなる手法、

商材として考えている点です。

 

これではいつまでたっても

MQ会計の本質にはたどり着けない。

そもそも、

ふだんからMQで考えていないし

実践していない。

 

MQにかぎらず伝える側が、

「自身の頭で考え抜いていない」

です。

 

この質問に答えるとすれば、

 

自身で疑問を持ち、自身で考えたら、、

 

ですが、

 

私がMG研修を行っている理由の一つが

ここにあります。

 

MQ会計を伝える側であっても

実践する側であっても、

 

【思考力、想像力(創造力)、応用力】

 

を自身で自覚して身につけ、

自身で育てなければならない、です。

 

自身で考え、

自身で気づき、

自身で発見する、

 

です。

 

         ・

 

昨年、MG研修に

あるコンサルタントが参加しました。

感想文に次のようなことが書いてありました。

 

 

2日間ありがとうございました。

宇野さんの「相手に考えさせる」講義や

進め方にはっとさせられました。

 

これまでは一方的な講義や解説をしてきました。

さっそく取り入れたいと思います。

 

         ・

 

MQ会計は社長と一緒に実践する!

一緒になって考え想像し、

創造しながら応用し実践する!

 

伝える側は、そもそも

 

なぜ、何のために分析するのか

 (したがるのか)

なぜ、何のために解説するのか

 (したがるのか)

分析や解説の結果、何を伝えたいのか

 

MG研修を通して考える

考えさせられる良い機会です。

 

(つづく)

 

 


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